3. 定冠詞 (The Definite Article)
アラビア語の定冠詞は、英語の "the" に相当し、特定のものを指すときに使います。定冠詞は常に ال (al-) という形で、名詞や形容詞の前に付きます。
定冠詞「ال」の基本
- 形: ال (al-)
- 使い方: 名詞の先頭に付けます。ال と名詞の間にスペースは入れません。
- 意味: 特定の(すでに話題に出た、あるいは聞き手が知っている)ものを指します。
不定の名詞と定の名詞
ال が付いていない名詞は不定 (Indefinite) で、「ある〜」「一つの〜」という意味合いを持ちます。多くの場合、語末が un の音(タンウィーン)になります。
ال が付くと定 (Definite) になり、語末のタンウィーンは取れます。
| 不定 (Indefinite) | 定 (Definite) | |
|---|---|---|
| 本 | كِتَابٌ (kitābun) | الْكِتَابُ (al-kitābu) |
| (a book) | (the book) | |
| 家 | بَيْتٌ (baytun) | الْبَيْتُ (al-baytu) |
| (a house) | (the house) | |
| 車 | سَيَّارَةٌ (sayyāratun) | السَّيَّارَةُ (as-sayyāratu) |
| (a car) | (the car) |
注意: ال が付くと、語末のタンウィーン(-un, -an, -in)は必ずなくなります。
太陽文字と月文字 (Sun & Moon Letters)
ال の ل (l) の発音は、後ろに続く文字によって変わります。アラビア語の28文字は、太陽文字 (حُرُوف شَمْسِيَّة) と 月文字 (حُرُوف قَمَرِيَّة) の2つのグループに分かれます。
月文字 (اَلْحُرُوف الْقَمَرِيَّةُ)
月文字の前に ال が付くとき、ل (l) の音ははっきりと発音されます。
-
該当文字 (14文字): ء، ب، ج، ح، خ، ع، غ، ف، ق، ك، م، هـ، و، ي
-
覚え方: ل (l) の音がそのまま残る文字グループです。
-
例:
- الْ + قَمَرٌ (qamarun) → الْقَمَرُ (al-qamaru) - a月
- "l" の音が発音される
- الْ + بَابٌ (bābun) → الْبَابُ (al-bābu) - theドア
- الْ + كِتَابٌ (kitābun) → الْكِتَابُ (al-kitābu) - the本
- الْ + قَمَرٌ (qamarun) → الْقَمَرُ (al-qamaru) - a月
太陽文字 (اَلْحُرُوف الشَّمْسِيَّةُ)
太陽文字の前に ال が付くとき、ل (l) の音は発音されず、代わりに後ろの太陽文字が二重子音(促音)になります。これを同化 (assimilation) と呼びます。
-
該当文字 (14文字): ت، ث، د، ذ، ر، ز، س، ش، ص، ض، ط، ظ، ل، ن
-
覚え方: ل (l) の音が消えて、次の文字が強調されるグループです。
-
例:
- ال + شَمْسٌ (shamsun) → الشَّمْسُ (ash-shamsu) - the太陽
- "l" の音が消え、"sh" の音が二重になる (
al-shamsではなくash-shams)
- "l" の音が消え、"sh" の音が二重になる (
- ال + رَجُلٌ (rajulun) → الرَّجُلُ (ar-rajulu) - the男性
- ال + نِّيلُ (nīlun) → النِّيلُ (an-nīlu) - theナイル川
- ال + شَمْسٌ (shamsun) → الشَّمْسُ (ash-shamsu) - the太陽
表記上は ال のままですが、発音が変わるのがポイントです。シャッダ (ّ) 記号が、同化が起きていることを示します。
一覧表
| グループ | 発音 | 例 |
|---|---|---|
| 月文字 | "l" を発音する | الْقَمَرُ (al-qamaru) |
| 太陽文字 | "l" を発音せず、次の文字を重ねる | الشَّمْسُ (ash-shamsu) |